娘の離婚と自分のリストラ…父の心労
2年前、元旦那と別居した年の3月、私の父はリストラされました。
父のリストラを聞いたのは、夫と別居してようやく新居に引越し、それでもまだ一人暮らしにも今の会社にも慣れない状態で寒い季節を過ごした後の、春めいてきたお彼岸の日でした。リストラについては、お墓参りの時に必ず寄る小料理屋でランチのコースを食べている時に急に父から打ち明けられました。会社を辞めてくれと伝えられたのはだいぶ前のことで、ちょうど私の離婚騒動が持ち上がった頃でした。父はそのことを家族に内緒にしており、ひとり心にしまっていたのでした。
家族に言い出せなかったことを、ようやく言った安堵と、仕事がなくなった不安を打ち消すように必死に明るく振舞う父の様子を今でも覚えています。
娘の離婚と自分のリストラ。父の心労を思うといたたまれない気持ちになります。その頃を境に父は急激に老け込んだ気がします。
父はもともと転職癖のある人でよく会社を辞めたのですが、このリストラは私にとってショックでした。自ら辞めてくることはあっても、会社から辞めてくれといわれたことは今までなかったからです。
人からいらないといわれることは、人間にとって辛いことです。それが、会社からでも、配偶者からでも。
その日、私は一人暮らしの部屋に帰った後、原因不明の腹痛に襲われました。
今まで味わったことのないような腹痛で、真夜中に実家に電話をかけるほどでした。
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私の父も母も、母子家庭でいろいろ苦労して育ったのですが、だからこそなおさら、私にはお金の苦労をさせたくない、惨めな思いをさせたくないという気持ちがあったのだと思います。私は人並みにお金をかけられて育てられました。就職して一人暮らしをはじめた時も、結婚した時も、ずいぶん実家から金銭的援助をうけました。なにかあれば実家をたよれば大丈夫という思いが私の中には常にありました。
でも、今実家に金銭的援助なんて期待できません。むしろ私が援助しなくてはならないほどです。父は現在働いていないし(下手に有名大学を卒業しているため就職先がありません。)、母が嘱託で勤めているお給料だけが収入源だからです。父と母が現在住んでいる実家のマンションはローンが払い終わっていますが、私が大学を卒業した年に父が購入した土地のローンがまだ残っています。
例えば、次に私が結婚しても、前の結婚の時みたいに父や母に金銭的援助を受ける余裕はないでしょう。はっきり言ってしまえば、娘を2回もお嫁に出すことは父と母の人生には予定されていなかったのです。
もう30才すぎているのだし、親を頼るどころか、むしろ面倒をみなくてはならない立場なのですが、一人娘で甘やかされて育ったひ弱な根性の私がそれを受け入れるのはなかなか大変でした。
私は自分の幸福に無自覚でした。その事が恥ずかしいです。世の中にはもっと大変な人生がたくさんあります。私の人生や苦労なんて全然甘いです。
そのことを知ったことは、きっと私にとってよかったのだと思います。
今でもまだ、時々周囲をうらやましく思ったり、人と比べて自分が惨めになったりする時があります。 もっと強くなりたいです。自分で人生を切り開いていけるくらい強くなりたいです。
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